CUTTING リストカットする少女たち

『CUTTING リストカットする少女たち』表紙

『CUTTING リストカットする少女たち』
スティーブン・レベンクロン著 森川那智子訳 集英社文庫 (定価 本体 650円)

ご購入をご希望の方は、こちらのリンク先をご利用下さい。 Amazon  bk1  7&Y

  本書『Cutting ――リストカットする少女たち』はスティーブン・レベンクロンの集英社文庫シリーズとしては初めての評論です。

 『自傷する少女』で、小説として描かれたカッティング――切るだけではなく、裂傷や火傷を負わせたりするケースもある――の病理を、その発症要因や病態や回復への手がかりを豊富な症例紹介とともに、明らかにしていきます。
 本書は専門書かというと、専門書として読んでも充実した内容ですが、一般書としてもたいへんわかりやすいのです。優れた臨床家であると同時に優れた文学者であるレベンクロンならではの、当事者の心にじかに語りかけていくような、誠実で温かみのある内容になっています。

 今、日本では女子中・高生の間で「リスカ」という言葉がさほど耳新しくもなく使われているようです。「リスカ」とはリストカット(手首自傷)を短縮した言い方ですが、カッティングされる部位は手首だけではありません。「ちょっとやってみた」というケースも含め、カッティングの症例は急速に増加しているようです。

 当事者ばかりでなく、家族や友人、教育関係者にとっても、本書は、カッティングについての基本的な知識と理解をもたらすものであり、関係者の過敏で過剰な反応を防ぐのに役立つと思われます。(訳者あとがきより)