鏡の中の少女

『鏡の中の少女』表紙

『鏡の中の少女』
スティーブン・レベンクロン著 杵渕幸子・森川那智子共訳 集英社文庫 (定価 本体 552円+税)

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 主人公のフランチェスカは、ニューヨークのマンハッタンに住む15歳の女の子。問題ばかり起こす姉と違い、親に心配をかけない「いい子」。でも彼女は、いいたいことも言えないビクビクした自分が大嫌い。彼女はダンス・スタジオの鏡に映った自分の姿を見て、「太っている」と感じます。新しい理想の自分「ケサ」は、もっと意思が強く、引き締まっているはず。フランチェスカは猛烈なダイエットを開始します。頭の中は食べ物のことでいっぱい、体重が減るのが嬉しくてたまらない。彼女は自分がどんな危険なことをしているのか、気づきません。そして、なぜそんなにやせたいのか、その本当の理由にも・・・
 

訳者あとがきより


ニューヨークのオフィスのレベンクロン 『鏡の中の少女』の翻訳当時は、日本でもアメリカより7,8年遅れて、拒食症や過食症と呼ばれる摂食障害を持つ若い女性の急増が注目されるようになっていたころでした。中学生や高校生の女の子も読めるような本はないかと探していたところ、アメリカの友人が紹介してくれたのがこの本です。

 著者のレベンクロンのニューヨークのオフィスを訪れた際、彼は、このように話してくれました。「この小説を書いたのは、まだこの病気が一般に理解されていない時期で、学術的な論文を書く前に、まずこの少女たちを理解してもらうのには小説の形での表現がふさわしいと考えたからです」と。

 レベンクロンは、担当しているクライアントに強い関心と共感を持ち、一人一人のゆく末を注意深く見守っていることが感じられ、小説の登場人物サンディ・シャーマンのイメージにぴったり重なったことが思い出されます。 (訳者あとがきより)